国際プログラミングコンペティション
ALGODeQ2013/14

ALGOrithmic Design Quest
international programming competition

大気をつくりだす/一枚の葉として

かつて、遠い昔、23 億年ほど前、地球の大気に酸素はまだ少なかった。光合成生物が酸素を少しずつつくりだし、やがて酸素が大気に満ちて、その酸素を使ってエネルギーを生み出す生物が飛躍的にその活動範囲を広げ、いまの生物世界ができた。
いまの大気に酸素が20%含まれていることは、当然と思われている。多くの動物も、それを前提に「設計されている」。まさに、空気のように、そこにあって当然のもの。でも、それがないと、なにも進まないもの。それは最初からそこにあったのではなく、植物によってつくりだされたものである。

ALGODeQ は、その、まだ酸素の少ない世界で、酸素をつくりだす働き、をしようとしている。 「アルゴリズミック・デザイン」は、やがて、いま「設計」と呼ばれている活動にとって、いまの空気の、ように、そこにあることが当然で、あることは意識もされず、ふだんは名前も呼ばれない、そういう存在になるだろう。
わたしたちの存在と活動に不可欠の、大気。
わたしたちの世界をよりよく生成するために不可欠の、アルゴリズミック・デザイン。
どちらも、意識せずに、しかし、いつもそこにある、欠かせない存在。

ALGODeQ は、アルゴリズミック・デザインという「大気」をつくりだす、その、植物世界に芽生えた双葉、である。
この若芽はやがて、大きく成長し、木となり森をつくる、ことだろう。

ALGODeQで求めたこと

この、世界初(と思われる)、アルゴリズミック・デザインのプログラムそのものを求める国際コンペティションは、何を求め、そして何が得られたのだろうか。

アルゴリズミック・デザインとは何か、その定義については、要項とその主旨文に記した。
そして要項で、ALGODeQ は、応募作品に3つの領域での価値を求めた。
それはまず、解くべき「課題」の価値、次に、その課題を解く「方法」の価値、そして、その課題をその方法で解いた「成果」の価値である。
それに基づいて、審査に際しての、8つの評価項目を挙げた。

解くべき課題に、制限はない。個人の美学から都市や社会の問題、人類の未来から宇宙の進化まで、 対象は無限だ。その無限の対象の中から選び出した「課題」が、本人以外の他者にも同様に、解くべき課題として共有されること。それが、「課題」の価値、である。

「方法」の価値は、分りやすい。かつて示されたことのない新しい手法、よりスマートに課題を解くことのできる技法、いままで解くことのできなかった課題を解く方法、それが求められる。
「成果」は、多くの場合、デザインになる。あるいは広く、文学や音楽のような創作物のかたちを取ることもあるかもしれない。

そして、8つの評価項目のひとつ、「Genetic in uence =伝播性」は、それらの「課題発見-方法開発-成果提示」のセットを、他者が使い、改良し、そこから啓発され、飛躍し、さらに次の世代のセットを生み出すことができること、である。
それは、「アルゴリズミック・デザイン」の進化のプロセスであり、このプロセスが可能であることが、「アルゴリズミック・デザイン」の、従来の建築思潮とは異なる、最大の特性なのだ。
さて、そうした理念と檄文のもとで応募され、そして選ばれた案は、どうであったか。
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