DoMain2008 project

切り抜かれた被膜

これは台湾東部の台東市に立つオフィスである。

初めに、地面の一部がそっと膨らむ。地表の被膜が少しづつ持ち上がり、やがて大きく立ち上がって内部空間を持つ「領域」となる。
そうしてできたのがこの建築である。

膨らんだ皮膜には曲面の切れ目が入る。
その切れ目は不規則であると同時に構造上のバランスを確保するよう配置されている。
これは、規則的ではなく、しかし規則を守っている、という両面の性格を持つパターンである。

この建築の原型は、1987年のプロジェクト「SKIN of the EARTH」にある。
「SKIN of the EARTH」では、膨らんだ皮膜はそのまま上昇を続け、大地との接続部は伸びきって、いまにもちぎれそうだ。
それらは上部を支持する構造というより、自動的に上昇していく塊を地表につなぎとめようとするアンカーのようだ。

「DoMain」ではそこに至る前の段階である。
浮上する膨らみは、まだいくらかの重さを残し、付かず離れずの状態で地表と接している。
(co-architect: S.T.Yeh,Architects)