ORE-X 1989

1989
SD レビュー 朝倉賞 (日本)

二重露光空間/リ・パッケージ

これは東京の都心部に計画されたオフィスである。
一般にオフィスとは、床を積み重ねて皮膜でパッケージしたものにすぎない。テナントの要求の平均値に応えようとして、結局箱になる。それはビジネスという世界共通の言語の一種として、等質性を条件としている。どこに行っても同じ姿、安心できる様式。ハンバーガーショップやホテルチェーンと同様に。

ここで、箱の外側に線を描いてみる。
ランダムなひび割れのようにたくさんの線を描いたら、その線で箱を切り刻んでしまう。するとたくさんのばらばらの断片ができる。箱が平面に解体される。
その空間のかけらを、空中高く放り投げる。
次に、その断片をひとつづつつないで、ふたたび立体をつくる。しかし、つなぎ方がわからないから、もとの箱には戻らない。そこには不定形な立体ができあがる。
破砕された断片から、再びつくりだされたもの。もとは箱であったものからつくられた、もはや箱ではないもの。その内側に何枚かの床を張れば、それはやはりオフィスとなる。

ここでは、もとの箱と、組み替えられた立体とを、組み合わせた。
もとの箱は、土でつくられる。そこに、ガラスでつくられた組み替えられた立体が突きささる。四角いオフィスの部屋のなかに、唐突に尖った空間が侵入する。
土の塊に穿たれた光の先端。
もとは同じであった二種類のパッケージが、同一の場所に出現して、空間の二重露光を起こす。
過剰な光がハレーションを起こすように、空間が析出する。