太陽神の都市-2 ID-II 1995

これはの「太陽神の都市-1」進化版である。
太陽神の都市-1は、どの住戸も一定の日照を得るという条件を満たすための方法が、今使われているもの以外に存在する、ということを示したプログラムであった。
孔を開ければ光は届く、というのがその基本であった。
それをふたつの面で発展させたものが、この太陽神の都市-2である。

-1では、日照を最優先させるといかなる結果が生まれるか、という点を明確に示すために、それ以外の操作は極力避けていた。
操作をしない、ということは、ランダムネスに任せるということである。
ユニットが組み合わさった結果がどのような状態、つまりかたちや空間になるのかは、偶然にゆだねていたわけだ。もちろん、あらかじめ定めた日照を自動的に確保するという条件のもとでである。

その趣旨は達成したとして、-2では、日照以外の条件を加えている。
そのために、ユニットの集合の形式にいくつかの性格を設定した。
ユニットの集合の形式に、規則をつくる。
ただし、その規則は、結果としての形状を直接指示するものではない。あくまで、ユニットの部分的な集合規則を規定するものである。
つまり、大きなランダムネスの中に、秩序を発生する小さなコードを潜ませること。

したがって、でき上がった全体の姿は、ここでも一律ではない。
プログラムが描き出す結果としての建築体の姿は、シミュレーションのたびごとに異なる。しかし、設定の違いは、結果にはっきりと示される。
そこには、中庭を生じるもの、壁が立ち上がるもの、セットバックするもの、クラスター化するもの、等の、性格の異なった街区が「発生」する。
使用するユニットの形状は、-1と同様の直方体にとどめた。
その変更を仕組むことも可能であるが、結果の-1との違いを検証しやすくするために、あえて同じにしている。

-1とのもうひとつの違いは、複数街区を扱えるようにしたことである。
街区相互の日照関係の検討が組み込まれている。これにより、扱える対象が都市全体に広がる。

上記の設定により、このプログラムは、原理的にはどんな規模の都市にも適用できる。
その限界は、用いるコンピュータのメモリに依存する。記憶容量が、都市の範囲を決定する。
実施の例は「発生街区の都市」プログラムによって生成した街区の上に行なわれている。