兵庫県立芸術文化センター街区  1992

公開設計競技(二段階)
二次プレゼンテーション時審査委員長選定作品(伝)

これは建築というより都市のスケールに達する存在である。
いくつもの異なった機能と性格の単体施設が集まって街をつくるとき、そこにいかなる方法がふさわしいのか、その解答はまだなされていない。

今までの複合施設は、機能ごとに分けた単体の集合体か、なんでもひとつの箱に入れてしまう集積体か、そのどちらでしかない。そこには個と全体とをつなぐ術もない。
相互に無関係の部分が建ち並ぶか、単一な全体像か、である。
そのいずれでもない方法は、ないだろうか。

街全体が緩やかに結びつく施設群からできているような、そして部分の自由と全体の秩序の共存するような、街。
ここでは、そうした街を形成することを求めた。

ホールや商業施設の各機能体は、個別の分棟となるのではなく、単一のかたまりをつくるのでもなく、共有空間を介してずれながら多層に重なって、全体としての融合体を形成している。
地上は様々な個別の建築単位によって構成され、それらは自由な形態と配置を許されながら、ランダムドットとは違う自己組織的な統合関係をシミュレートしている。

これは完成された全体像に向って固定された計画ではなく、変化していく街の過程である。明日の朝、窓から見えるこの街の景色は、今日とは違った姿をしているかもしれない。